化粧品の動物実験反対を訴えるクルエルティフリー

人間社会で生活していると、私たち人間も地球の一部で、他の生命(動物、植物など)と共存していることを忘れがちです。人間が作り上げた社会で、動物や植物は自由を失い、管理される対象になっているのも事実です。ここでは、動物の権利、特に化粧品と動物の関係についてご紹介します。

動物愛護としてのベジタリアン&ビーガン

動物の権利を訴える手段として、ベジタリアンビーガンがあります。ベジタリアンはお肉やお魚など、基本的な動物性の食物を摂取しない人たちの総称で、乳製品やハチミツなど一切の動物性食物を摂取しない厳格な人たちをビーガンと呼びます。特にビーガンは欧米では新しいアイデンティティの一つと認識されるほど、大きなムーブメントが起こっています。毛皮やウールなど、動物由来の原料を使っていないビーガンファッションも登場しています。一方、ビーガンコスメだからと言って、動物実験が行われていないかと言えば、必ずしもそうではないのです。

ヨーロッパから始まったクルエルティフリー

EUでは2004年に化粧品(完成品のみ)の動物実験を禁止する法律が制定されました。その後、2013年にはEUでの化粧品の動物実験が全面的に禁止されるようになりました。そのころから、クルエルティフリー(残虐な行為なし)が提唱されるようになり、クルエルティフリー・インターナショナルが動物実験廃止を訴える国際的団体として誕生します。厳しい検査に通過したクルエルティフリーを認められる製品に対して、リーピングバニーがマーク付けされるようになり、多くの人に化粧品業界での動物実験の存在を知られるようになります。このマークが確認できて初めて、動物実験をしていない製品だと安心して使用できるのです。

日本で購入できるクルエルティフリー

動物実験反対のコスメブランドと言えば、イギリス発のザ・ボディショップを思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。それもそのはず、1976年にイギリス・ブライトンで第一号店が誕生してから、1990年に日本にも進出し、現在では60か国以上で3000店舗を展開する自然派化粧品の大人気ブランドに成長しています。ベジタリアンやビーガン、エシカルエコフレンドリーと言った、欧米発の新しい概念の一つとして、クルエルティフリーも認知されるようになりましたが、ボディショップはその遥か前から動物実験への反対・禁止を訴えているパイオニア的存在でもあります。2018年には、世界で化粧品の動物実験を禁止する法律がないことを訴えた、全世界から800万人もの署名を集め国連に提出するなど、自社製品を超えた活動もしています。

まとめ

少し背景を調べてみても、残念ながら日本のコスメブランドが積極的にクルエルティフリーを提唱していないのが現状です。いかに美しく、白く、若々しくあるかに価値を置く日本では、その犠牲になっている動物たちまでまだ想いが届いていないのかもしれません。ベジタリアンやビーガンと同様に、日本では受け入れがたい概念なのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。ミレニアム世代を中心に、日本でも少しずつですが意識改革が起こっています。エシカルファッションエコビオの流れも日本に入ってきているので、クルエルティフリーが人々の関心に加わるのも時間の問題だと思います。不安定な世の中だからこそ、消費者にとって製品の透明性は今後も大きな課題となるでしょう。

Author: Himari